1人でも雇用すれば労災に入らなければなりません。また、基準を満たせば雇用保険にも加入させなければいけません。自分で手続きすることももちろん可能ですが、労災と雇用保険の総称として労働保険といわれますが、労働保険事務組合に委託するとメリットがあったりします。
労働保険事務組合とは
労働保険事務組合とは厚生労働省が認可した中小事業主などの団体で、本来は事業主が行うべき労働保険の処理を行うことができます。
労働保険事務は事業主自身で行うことができればベストですが、人的リソースの不足などから担当者を置けなかったり、それらの処理を行うことで本業が阻害されてしまうなどの懸念がある場合に、労働保険事務組合に一連の処理を委託して本業に集中することが可能です。
労働保険事務組合に処理を委託するには労働保険事務委託書を提出しますが、団体によって委託金や手数料に違いがあります。費用対効果はじっくりと検討するのがおすすめです。
おそらく、地域の商工会や商工会議所が最も低コストになるのではないかと思います。
ただ、中長期的に見た場合、社会保険の手続関係の代行などの依頼も考えるなら、社労士関係の組合を選択するのも一案でしょう。
自社で事務員を雇用したり育成するためのコストなどを考慮して選択したいところです。
誰でも委託できるわけではない
委託ができる事業主には所属している労働者に応じて基準が定められており、金融や保険、不動産、小売業の場合は150人以下、卸売りの事業やサービスの場合は100人以下、その他の事業の場合は300人以下とされています。
委託できる事務の範囲は概算保険料や確定保険料などの申告や納付に関する事務をはじめ、保険関係成立届や任意加入の申請、雇用保険の事業所設置届の提出、労災保険の特別加入の申請、雇用保険の被保険者に関する届け出、その他労務保険に関する申請や届け出、報告などがあります。
一方、労災保険や雇用保険の保険給付に関する請求は、労働保険事務組合に委託できる処理からは除外されているので注意が必要です。
特別加入について
また、上記にある「特別加入」は、労災保険に加入できない事業主や家族従事者でも、「特別に」加入できる制度です。
ただし、特別加入するにはさまざまな要件があります。
たとえば、一人親方の場合、雇用していないので労災には入れないのですが、2種特別加入という団体組合を通じた労災加入ならすることができます(これは商工会・商工会議所でやっている・やっていないがあります。基本は1種の特別加入の取り扱いです)。
まとめ
煩雑な事務処理を労働保険事務組合に委託することで多くの手間が省けるのはもちろんのこと、金額にかかわらず保険料を3回に分けて納付することができるようになります。
多くのメリットがあることから、事務組合に委託をしたり労災保険に特別加入する事業主が増えているといいます。
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